はじめに
こんにちはヒデ英語です!
「海外小説が好きだから原書を読んでみたい」
「英語の本を読みたいけれど、難しそう…」
「途中で挫折してしまう…」
そんなふうに感じていませんか?
翻訳小説好きであれば、英語の原書を読んでみたいと思うことがありますよね。せっかく学校で英語を習ったのですから、好きな小説の原書を読んでみたい。好きな小説の英語訳を読んでみたいと思うことがあるのではないでしょうか。
僕は、今現在、40代前半ですが、30代後半に差し掛かった頃英語読書を始め、その魅力にとりつかれ、その後、自由に英語読書ができるようになるまで、約2~3年程度の期間を要したと思います。
自己流で様々な紆余曲折を経て、最近では自分の読書スタイルが固まってきましたが、とにかく楽しかったので、その方法を皆様に共有したいと思います。
僕は、子供のころから翻訳小説が好きで、小学生のころは、福音館古典童話シリーズ、岩波少年文庫、偕成社文庫などの翻訳ものを愛読していました。
特に、偕成社の黒いカバーのシャーロック・ホームズシリーズや茶色いカバーのルパンシリーズは本当に大好きで、学生の頃からいずれ原書で読んでみたいと思っていました。
現在の僕は、すでにシャーロック・ホームズシリーズはコナン・ドイルの原文をほぼ日本語と変わらないスピードで読めるようになっています(ルパンシリーズはフランス語で読もうと思っていて、現在フランス語読書も進めています)。
英語読書にまったくストレスを感じておらず、シャーロット・ブロンテの「ジェイン・エア」やエミリーブロンテの「嵐が丘」、ディケンズ、カズオ・イシグロの作品群を心地よく読むことが出来るようになっています。
ただ、いろいろな方々と英語読書の話をすると、英語読書がうまくできず苦戦している方が多数いらっしゃるようなので、僕が英語読書にストレスを感じることなく楽しめるようになった過程をご紹介したいと思います。
英語読書に必要なもの
まず、英語で読書することができるようになるのに必要なものは何かというと、ズバリ「楽しさ」。これにつきます。
そもそも、英語読書をなぜやるのかといえば、「楽しいから」に決まっています。
英語読書がいかに楽しいものであるかについては、具体的な作品のレビューを通じて、いずれご紹介できればと考えていますが、とにかく、僕にとって、英語読書は、日本語読書よりも圧倒的に楽しい読書なのです。
そのうえで、「楽しさ」は何によりもたらされるかですが、これは「好奇心」を満たすことによりもたらされます。
英語により表現されている面白いアイデア、魅力的なキャラクター、心に刺さる感情表現、息を飲む風景描写、これらの内容を知りたいと思う知的欲求こそが、英語読書の「楽しさ」の根源にあります。
そして、この知的欲求さえあれば、必ず、英語で読書できるようになります。
英語読書に不要なもの
逆に、英語読書に不要なものが二つあります。英語読書が出来るようになりたいと考えているのであれば、次の二つは絶対に排除するべきです。
①英単語の暗記。
②英文法のお勉強。
おそらく、この二つは、英語を「お勉強」と捉えた際の二つの柱となる要素ではないでしょうか。学生時代の僕にとってはそうでした(その結果、大人になった僕に残ったのは、英語が嫌いという感情だけでしたが(笑))。
英語が言葉であること、好奇心を満たし、世界中のコンテンツを楽しむためのツールであることを考えると、この二つはとんでもないことです。優れたエンターテイメントツールである英語に対する冒涜ではないかとさえ思います(笑)。
英単語の暗記と英文法のお勉強の何が問題かというと、「つまらない」ということです。
少し考えればわかることですが、特定の文脈を離れた、無味乾燥な個別の英単語や英文法を知ったとして、何の好奇心が満たされるというのでしょうか。
極論すれば、内容を楽しむことができれば、英語など知らなくてもよいのです。
ただ、極上のエンターテイメントに触れるには確かに英語が必要です。しかし、そこで必要なのは個別の英単語だけを暗記するとか文脈と離れた英文法を勉強するなどといったことではないはずです。
なかには、英単語や英文法をマスターしてから英語読書をしたいという人がいるかもしれません。
しかし、それでは、「楽しみ」とは無関係なことに時間を使ってしまうことになります。
僕もそうですが、特に社会人の皆様に、そんな時間はありません。直ちに「楽しい」ことを始めるべきなのです。
①英単語の暗記が不要ということですが、もちろん、英単語を知らなくていいということではありません。英語を通じて読書を楽しむために語彙力は重要です。しかし、英単語を個別に、苦行のようにして覚えても意味がないということです。まず「楽しむ」過程があって、その楽しみの中で英単語が定着するようにすればいいのです。決して「楽しみ」を後回しにしてはいけないということです。
②英文法のお勉強ですが、これは、英語読書を楽しむという観点からはナンセンス極まりないものになります。英語の中身を楽しむことさえできていれば、文法的な理解や説明は全く不要です。ちょっと考えてください、あなたが、外国人の英語話者と、ある小説について英会話が盛り上がったとして、「ここの現在完了形の使い方がいいよね」「ここの進行形の使い方おもしろいよね」なんて会話すると思いますか?あなたが、外国人から、日本語で、日本語の小説についてそんなこと言われたらどうですか?キョトンとしますよね。ということで、英文法は英語読書に全く不要と肝に銘じていただきたいと思います。
僕の体験談
そのうえで具体的にどのように英語読書が出来るようになるかですが、まず、僕の体験談を簡単に紹介します。
僕は、英語読書を開始した当初、上に書いたとおり、シャーロック・ホームズシリーズが大好きだったことから、その原書を英語で読むことに挑戦しました。
「シャーロック・ホームズの冒険」に収録されている「赤毛連盟」「唇の捩れた男」「まだらの紐」などといった、内容を熟知している超メジャー作品をコナン・ドイルの原文で読んでみたのです。
しかし、内容を熟知しているにも関わらず、わからない単語が多く、読むスピードはなかなか上がりませんでした。
当初からkindleの辞書機能を用いて英単語力の増強を図っていたのですが、kindleをタッチする回数が多すぎて、スピードが遅く、「シャーロック・ホームズの冒険」全12作品を読み通すのに、相当の日数を要してしまった記憶があります。これが2019年秋頃のことです。
その後、僕は、これではいくらなんでも英語読書のスピードが遅すぎると一念発起し、自分の興味について若干妥協し、英語読み物として読みやすいものを読んでみようと考えました。
それが、村上春樹の「ノルウェイの森」だったのです。
実は、「ノルウェイの森」は僕にとって特殊な作品でした。
大学生、20歳くらいの頃に初めて読んだのですが、はっきりいって、僕は、その作品に嫌悪感を持っていたのです。大学生の頃の僕は、教養のために村上春樹を一応読んでおこうというくらいの軽い気持ちで、日本語で「ノルウェイの森」を手にしたのですが、あまりにも僕のテイストに合わず、気持ち悪いとすら感じていました。
以後、30代後半に至るまで、僕が村上作品を読むことはありませんでした。
では、30代後半に差し掛かっていた僕が、なぜ村上作品を手に取ったかです。
まず、英語多読でググると、定番として上がってくるのが村上春樹作品だったということがあります。定番図書として検索に引っかかる作品のうち、僕の興味を引いたのが村上春樹だったということです。
その上で、「ノルウェイの森」は村上作品中最も知名度の高い作品ですし、現代日本の日常的な生活を舞台にした物語であるということはわかっていましたから、ある程度、英文がわかりやすいのではないか、英語の勉強素材としては適切なのではないかと考えたのです。
また、その内容を思い出しておくことは、自分の興味からは若干逸れるけれども、教養としては望ましいことではないかと考えたのです。
これがとんでもない間違いでした。
「ノルウェイの森」の第1章を英語で読んだ時点で、僕は、かつてない衝撃を体感しました。自分でいうのもなんですが、僕の読書量は平均的な日本人の読書量を相当超えており、それまでに様々なジャンルの作品の読書を通じて様々な感動を体験していたという自負がありました。
しかし、「ノルウェイの森」を英語で読んだ際に感じた衝撃は、それまでの日本語による読書では一度も感じたことがないものだったのです。精緻なキャラクター造形、感情表現を通じた人間洞察の深み、表現の明快さ・鋭さ・美しさ、展開の巧みさ、提示される問題の深さ等どれをとっても僕が体感したことのない素晴らしいものだったのです。これが本当に20歳の頃嫌悪していたものと同じなのかと甚だ疑問になりました。
その衝撃の詳細は改めて別の記事で紹介したいと考えています。
気がつくと、僕は、村上春樹の英文により繰り広げられる村上ワールドにのめり込み、知らない単語をkindle上でタッチすることも忘れて読み耽っており、「ノルウェイの森」をあっという間に読み終わりました。
以後、次々と村上春樹作品を英語で読んでいきましたが、その間、自分の英語力がどのくらいなどといった些末な問題はどうでもよくなっていきました。
村上作品は「ノルウェイの森」に代表される現実世界を舞台にした作品と、「1Q84」に代表される幻想的なファンタジー要素を絡めた作品とに大別されますが、元々僕がファンタジーを愛好していたこともあり、「海辺のカフカ」「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」「羊をめぐる冒険」「ダンスダンスダンス」「ねじまき鳥クロニクル」「1Q84」「騎士団長殺し」(以下、僕は、勝手に、これらの作品を総称して「村上ファンタジー」と呼びます。)という順番で次々と村上作品の英語を読み、2020年中にはこれらの作品は全て英語で読了していたと思います。
実は、このうち、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」は少し難易度が高く、読むのに苦労しました。特にファンタジー要素が強い作品だったからです。
もし、これから村上作品を英語で読もうという方がいらっしゃるのであれば、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」は後回しにして、「1Q84」や「海辺のカフカ」あたりから読み進めるのがいいのではないでしょうか。
もちろんわからない単語は多数あり、相当kindleをタッチしたと思いますが、あくまで内容を知りたい、先を読み進めたいという気持ちが先行し、英単語を調べるのに時間を使った記憶はほとんどありません。
上記の村上作品の完成度はどれも驚くべきもので、その内容のユニークさは想像を絶するものがあり、村上のアイデアが英語と結びつくとこれほどの説得力を有するのかと驚愕しました。
村上ファンタジーを一通り読み終える頃、僕は、英語の言語としての素晴らしさに魅了され、日本語で読書をする気が全くなくなってしまいました。
村上ファンタジーを一通り読み終えたのち、シャーロック・ホームズの英語を再度読んでみたのですが、驚くほどスッと読めるようになっており、ただただ英文から直に伝わってくるイメージに感動するようになっていました。こんなことは、学校で勉強として英語に触れていた時代には全く感じたことのない感覚であり、中身を知りたいという知的欲求、好奇心こそが、英語と触れるに際して何より重要だと体感した次第です。
僕の体験からいえること
これはあくまで僕の体験談で、一般論として当てはまるかはわかりません。ただ、英語読書を出来るようになりたいのであれば、次の3つのポイントがあるといえると思います。
- とにかく先を読みたい、中身を知りたいと思える本を読む。
- 最初は、すでに日本語等を通じて内容がある程度わかっている本を選ぶ(日本語で読んだことがある作品が理想)。
- 現代小説の方が古典よりも望ましい。
読書好き、海外小説好きの皆様には、何度でも読み返したいと思える本が何冊かは思い当たるのではないでしょうか。まずは、その中から一冊を選んでください。その際、とにかく、これを読みたいという感情にしたがってみてください。
ただし、シャーロック・ホームズのような古典は、使われている英語が古く、語彙がやや難解であり、それらが若干楽しみの障害となります。
最初の一冊には、現代小説を選ぶのが無難です。最近の小説の英語の方が、古典よりも明らかにわかりやすいです。
最初の一冊としておすすめの本
最初の一冊に何を選ぶかは、完全に、皆様個人の趣味嗜好の問題であって、僕があえて口出しする必要はないですし、自発的に自分の内から湧き上がってきた興味でなければ、なかなか、楽しいと思えるものではありません。
ただ、中には、何を選んだらいいかわからないという方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、僕が、英語読書最初の一冊としておすすめする本を2冊紹介します。
いずれも、皆様の好みに合致し、皆様の好奇心を刺激することが大前提です。もし、テイストに合わないというのであれば決して無理に読もうとせず、ご自身の好みに合った作品を探してみてください。
“Wild Sheep Chase” by Haruki Murakam (村上春樹「羊をめぐる冒険」の英語訳)
“Never Let Me Go” by Kazuo Ishiguro (カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」の英語原書)
2冊とも、英語は非常に平易で読みやすいです。そのうえで、何よりも中身が素晴らしいです。
Wild Sheep Chase は上で僕が勝手に村上ファンタジーと分類した作品の中で、特に読みやすい作品だと思います。村上ファンタジーのもつ非常にユニークで幻惑的な世界に引き込まれれば、わからない英単語の100個や200個どうでもよくなります。
Never Let Me Go はいわずとしれたカズオ・イシグロの代表作ですね。英語が驚くほどシンプルですが、語られる内容の深みは圧倒的で、英語で読むことにより、ノーベル文学賞を受賞した理由がわかってきます。いずれ、別の記事で、その圧倒的な深みにより、知らない英単語や英文法などといった些末な問題がどうでもよくなっていく過程を詳細にご説明できればと考えています。
具体的な読み方
最初の一冊を選んで読み始めた後どのように読み進めていくべきかについては記事を改めて説明していきたいと思います。
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