フランス語読書会 Introduction 2

フランス語読書会

―― フランス語に魅せられて、そして読書会へ

フランス語に魅せられて

英語とフランス語の読書をこよなく愛する、ヒデです。

前回の記事では、『黄色い部屋の謎(Le Mystère de la Chambre Jaune)』を英語訳を参照しながら読み通したことで、フランス語読書への扉が一気に開いたことを書きました。

その熱はすぐには収まりませんでした。

次に僕が手に取ったのは、ヴィクトル・ユゴー『レ・ミゼラブル(Les Misérables)』のフランス語原書です。もちろん、英語訳を横に置きながら。日本語で読了した経験があったため、物語の骨格はすでに頭に入っていました。

ここで改めて強調しておきたいのは、僕にとって語学はあくまで「娯楽」だということです。

退屈な文法書や単語帳に時間を費やすことは一切しません。
読みたいから読む。ワクワクするから読む。

その一点だけで、すべてを選んでいます。

したがって、いわゆる「学習者向けの簡易版」も手に取りません。内容に惹かれて外国語で読んでいるのに、その魅力を削ぎ落としたテキストを読むのでは、本末転倒だからです。

『レ・ミゼラブル』は、決して易しい作品ではありません。むしろ、フランス語の中でも屈指の難易度を誇る作品かもしれません。

それでも、僕にとっては最も「読みたい」一冊でした。

全五部構成のうち第一部を読み終えたとき、理解できない箇所は多々ありながらも、ところどころでフランス語の表現が鮮やかに立ち上がる瞬間がありました。まるで暗闇の中で、突然ひとつの言葉が光を放つような感覚です。

そして気づけば、僕は完全にフランス語の魅力に取り憑かれていました。

音がいい。
響きが美しい。
リズムが心地よい。

音源を確認しながら読むと、それはもはや「文章」というより音楽のように感じられました。

さらに、文字の佇まいも魅力的です。英語よりも、意味の境界がくっきりと整えられているような印象を受けました。

この感覚を、誰かと共有したい。
その思いが、次の行動へと僕を駆り立てます。

僕の戦略

正直に言えば、いきなりフランス語で『レ・ミゼラブル』の読書会をやりたい気持ちもありました。

しかし、それには極めて強い情熱が必要です。

そもそも「フランス語で本を読む」という時点でハードルが高いのに、さらに重厚な大作を提示すれば、興味を持ってくれた人すら遠ざけてしまうかもしれない。

一方で、僕は簡略版や教材的なテキストは絶対に読みたくない。

そこで考えました。

薄いけれど、内容が濃く、確実にワクワクできる作品を入口にする。

この方針のもと、用意したのが次の2冊です。

  • サン=テグジュペリ『星の王子さま(Le Petit Prince)』
  • アルベール・カミュ『異邦人(L’Étranger)』

どちらも分量はコンパクトですが、その文学的価値は言うまでもありません。そして何より、自分自身が心から読みたいと思える作品でした。

最初の一人

2025年6月当時、僕はすでにいくつかの英語読書会を主催していました。また、英語原書を読む仲間たちと定期的に読書の進捗を共有する場にも参加していました。

その中に、大学生のコウキ君がいました。

(僕とコウキ君で始めたドストエフスキー英語訳比較読書会についてはこちら)

彼が『レ・ミゼラブル』を英語で読もうとしていると聞いたとき、内心では「それならフランス語で読むべきだ」と叫びたくなりましたが、そこはぐっとこらえ、まずは英語訳の話から入りました。

そして、何気なく尋ねます。

「第二外国語は何を選んでいるの?」

答えは予想通り――フランス語でした。

ここぞとばかりに、用意していた『星の王子さま』と『異邦人』の原書を取り出し、どちらを読むかと問いかけます。

太宰治や三島由紀夫を好み、すでにドストエフスキー『罪と罰』を英語で読み始めていた彼なら、『異邦人』を選ぶだろうと踏んでいました。

しかし、彼が選んだのは『星の王子さま』でした。

理由はシンプルで、「フランス語にまだ自信がないから」。

その一言が、むしろこの読書会の方向性を決定づけたように思います。

思わぬ展開

二人でたどたどしいフランス語を交わしながら、まるで遊びのように会話をしていたときでした。

そこに、流暢なフランス語が割って入ります。

英語読書仲間のクミコさんでした。

彼女はミステリーやサスペンスの英語原書を圧倒的な量で読みこなす読書家で、普段から読書の進捗を共有していた仲間の一人です。その彼女が、自然なフランス語で話しかけてきたのです。

(クミコさんのミステリー、サスペンス洋書の読書については別記事で紹介します。)

その瞬間、場の空気が一変しました。

そして何より驚いたのは、彼女自身もフランス語読書に興味を持っていたことでした。

まさに渡りに船。

僕はすぐに『星の王子さま』の読書会へと誘い、快く参加していただくことになりました。

フランス語読書会、始動

こうして、2025年6月。
コウキ君、クミコさんとともに、フランス語読書会がスタートしました。

その後の歩みは次の通りです。

  • 2025年6月〜8月:『Le Petit Prince(星の王子さま)』
  • 2025年9月〜11月:『L’Étranger(異邦人)』
  • 2026年1月〜:『Le Fantôme de l’Opéra(オペラ座の怪人)』

『星の王子さま』と『異邦人』はいずれも読了し、想像以上に刺激的で、深い議論が展開されました。フランス語という言語そのものの魅力を、読書と対話を通じて実感できる時間だったと感じています。

そして現在も、この読書会は進行中です。

次回は、『Le Petit Prince』読書会で実際にどのような議論が交わされたのか、その中身に踏み込んで紹介していきます。

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