【文スト】文豪ストレイドッグス(ライトノベル)「太宰治の入社試験」英語訳読書会1【ネタバレなし】

文豪ストレイドッグス英語訳読書会

英語版ライトノベル『Osamu Dazai’s Entrance Exam』で読み解く文ストの世界①

英語とフランス語の読書が大好き、ヒデです。

前回の文ストライトノベル英語訳読書会 Introductionでは、英語版ライトノベル
Osamu Dazai’s Entrance Exam
を通じて、『Bungo Stray Dogs』の世界に初めて触れたことを書きました。

2026年4月時点で、僕の文スト知識は、このライトノベル一冊から得たものだけです。

しかし――。

読み終わった瞬間、

「これはすごい……。」

と思いました。

文学。
異能力。
探偵。
マフィア。
そして太宰治や芥川龍之介が同じ世界で動いている。

本編にはドストエフスキーも出てくる。

(ただし、ライトノベルにはドストエフスキーが出てこない…)

ドストエフスキー好きの僕としては、こんな設定を放置できるはずがありません。

そこで今回から、文ストを愛してやまない中学生読書家・ミズさんに教えてもらいながら、『文豪ストレイドッグス』の世界を、英語版ライトノベルを通じて掘り下げていきたいと思います。

漫画もアニメも見ず、小説だけで文スト世界に挑むという、かなり偏った読書スタイルですが、このブログが洋書読書を自由自在に楽しむコンセプトであるということでお付き合いください。

今回はまず、世界観と基本設定を確認していきます。

基本概念の確認ですので、ネタバレはありません。

メンバー紹介

ヒデ(僕)

社会人男性。

英語とフランス語の読書が大好き。
ドストエフスキーに興味を持っていた流れで文ストに辿り着き、『太宰治の入社試験』英語版を読んで文ストファンになる。

ただし、

  • 漫画を読まない
  • アニメを見ない
  • 日本語の小説を読まない
  • 英語とフランス語の小説しか読まない

というかなり面倒な読者。

そのため、文ストの基本常識すらよく分かっていない。

なお、『文豪ストレイドッグス』にはドストエフスキーが登場すると聞いていたにもかかわらず、ライトノベルにはまだ出てこないことを知り、密かに絶望している。

ミズ

中学生女子。

たいへんな読書家。
そして熱烈な文ストファン。

文ストの魅力をヒデに伝えようとしているが、

「漫画もアニメも見ない大人に、どうやって文ストを説明すればいいの……?」

と頭を抱えている。

しかし、それでも諦めず、小説からでも文ストに引きずり込もうとしてくる文スト愛は本物である。

舞台設定

横浜。そして時代はいつなのか?

ヒデ:まず気になったのが、文スト世界の時代設定です。

舞台が横浜であることは分かりました。

しかも、この横浜がお洒落でかっこいい。

現代的なのに、どこか古く、
退廃的なのに洒落ていて、
文学と裏社会が自然に共存している感じがあります。

ただ、元号などは出てこなかったですよね。

英語版では、

  • Mobile device
  • E-mail
  • Phone

などが登場していました。

かなり現代に近い時代と考えていいのでしょうか?

ミズ:はい。

文ストの世界は、基本的には現代に近いです。

ただ、携帯電話はスマホではなくガラケーっぽい描写が多いです。

だから、少し昔の現代という感じがあります。

しかし、正式な年号は不明です。

この「少し昔の現代」という空気感は、かなり重要かもしれません。

文スト世界には、

  • レトロな喫茶店
  • 古い港町の雰囲気
  • 裏路地
  • 倉庫街

のようなイメージが強くあります。

現代なのに、どこか昭和的で文学的。

特に横浜という舞台設定が絶妙で、文明開化以来の「異国文化」と「退廃」が混ざり合った空気が、文ストの世界観と驚くほど噛み合っています。

ヒデ:なるほど、横浜は、日本の歴史からみても、文明開化、国際都市として象徴的存在ですよね。そうすると、現代的な空気と歴史的な空気が混ざり合った横浜という舞台設定が非常にたくみだと感じます。

主な登場人物

名前だけでテンションが上がる

ヒデ:次の主要登場人物たちは、英語表記でもすぐ分かりました。

  • Doppo Kunikida 国木田独歩
  • Osamu Dazai 太宰治
  • Ryuunosuke Akutagawa 芥川龍之介
  • Dr. Yosano 与謝野晶子
  • Ranpo Edogawa 江戸川乱歩

文学好きとしては、これだけでもかなり面白いです。

しかも、キャラクター性が作家本人のイメージや作品世界と結びついている。

これは文学好きには危険です。

なお、

Chief Taneda

という人物が出てきましたが、これは種田山頭火モチーフという理解でいいのでしょうか?

あと、

  • Rokuzo Taguchi
  • Nobuko Sasaki

は、僕の知識では分かりませんでした。

そして、

The president

とは誰なのでしょうか。

ミズ:種田山頭火は、内務省異能特務課の長官です。本編では重要な役割があるのですが、『太宰治の入社試験』では名前だけ登場ですね。

佐々城信子(ささきのぶこ)は実在の人物からとられた名前で、国木田独歩の最初の妻ということです。

田口六蔵は国木田独歩の小説の登場人物ということです。

二人とも本編には登場せず、わたしもそのモチーフについて初めて知りました。

“The president” は、
武装探偵社の社長、

福沢諭吉

のことです。

日本語版では「社長」と呼ばれることが多いです。

ヒデ:ここでまず驚くのが、『文豪ストレイドッグス』が単なる「文豪の名前を借りた作品」ではないことです。

各キャラクターには、

  • 作家本人のイメージ
  • 代表作
  • 文体
  • 文学史的立ち位置

などがかなり巧妙に織り込まれています。

たとえば太宰治の飄々とした危うさ。
芥川龍之介の鋭利な攻撃性。
江戸川乱歩の推理性。

文学好きほどニヤリとしてしまう構造になっています。

「武装探偵社」などは英語でどうなるのか

Armed Detective Agency の響き

ヒデ:文スト特有の固有名詞も、とても印象的でした。

特に気になったのは次の言葉です。

  • Armed Detective Agency
  • Port Mafia
  • The Azure Apostle
  • The Azure Banner Terrorist Case
  • The Azure King

これらは日本語ではどう表現されているのでしょうか?

ミズ:まず重要なのはこの二つです。

  • Armed Detective Agency
     → 武装探偵社
  • Port Mafia
     → ポート・マフィア

です。

ヒデ:武装探偵社!

これは日本語だとかなり独特でかっこいい名前ですね。

英語の Armed Detective Agency は、意味はすぐ分かるけど、日本語版のほうが謎めいた迫力があります。

あと、「探偵社」なのに「武装」しているというのはなかなか危険な雰囲気ですね。

民間組織なんでしょうか?

ミズ:はい。

民間企業です。

ただし、給料は不明です。

ヒデ:「給料は不明」が面白いですね、Kunikidaたちの生活はどうなっているのか気になります。

ミズ:『文豪ストレイドッグス』において武装探偵社は、

  • 異能力事件を扱う
  • 軍や警察では対処困難な案件に介入する
  • しかし完全な正義組織でもない

という、かなり独特な立ち位置にあります。

ポート・マフィアはそのまま

そして、その対極にいるのが、

Port Mafia(ポート・マフィア)

です。

横浜という都市を舞台に、

  • 探偵社
  • マフィア
  • 異能特務課

など複数勢力が均衡している構図が、文スト世界を非常に魅力的なものにしています。

ヒデ:ポート・マフィアはそのまんまですね。「湾岸犯罪組織」とかではないんですね……

Azureと蒼

ミズ:「Azure」は英単語として少し難しく感じますが、原文における「蒼」のことだと思います。

ヒデ:「azure」は中学校の英語ではまず出てこない単語ですよね。しかし、洋書の読書においては非常によく出てきます。「紺碧」とか「晴天における空の色のような空色」を意味しています。

「蒼」のついている各単語は、本作のストーリーにおいて重要な固有名詞になりますので、記事を改めていずれ検討しましょう。

「異能力」は英語で Skill

文学作品が能力名になる面白さ

ヒデ:文スト世界の核になる概念が、やはりこれです。

英語版では “Skill” と表現されていました。

おそらく、各文豪が、自分の文学作品に由来する能力を持っているということだと思ったのですが、どうでしょうか。

たとえば、

  • Doppo Kunikida
     “The Matchless Poet”
  • Ryunosuke Akutagawa
     “Rashomon”
  • Ranpo Edogawa
     “Super Deduction”

などですね。

しかも、どれも英語だと結構かっこいい。

ミズ:日本語版では、

“Skill” は
「異能力」

と表現されています。

そして、

  • The Matchless Poet
     → 独歩吟客
  • 太宰治の能力無効化
     → 人間失格
  • Rashomon
     → 羅生門
  • Super Deduction
     → 超推理

です。

英語もかっこいいけど、日本語に慣れていると少し違和感があります。

ヒデThe Matchless Poet

matchless は、

unable to be equaled; incomparable.

つまり、

  • 比類なき
  • 無比の
  • 並ぶもののない

という意味です。

なので直訳すると、

「比類なき詩人」

になります。

「独歩吟客」とはかなり印象が違いますよね。

でも、

“The Matchless Poet”

もかなりかっこよくないですか?

ミズ:わたしはやっぱり、
「独歩吟客」
の響きが好きです。

ヒデ:ここまでミズさんに教えてもらった内容だけでも、翻訳の面白さがよく分かります。

日本語版は、

  • 漢字の重厚感
  • 文学的な響き
  • 和風の美学

が強い。

一方、英語版は、

  • 能力の意味
  • スタイリッシュさ
  • 異能バトル感

が前面に出ている印象があります。

同じ能力なのに、言語が変わるとキャラクターの印象まで少し変わる。

ここが、英語で文ストを読む最大の面白さかもしれません。

次回予告

次回は、僕とミズさんそれぞれのお気に入りキャラクターについて、

  • 英語版ではどう表現されているのか
  • 日本語とどう印象が違うのか
  • どちらの響きが魅力的なのか

を比較していきたいと思います。

太宰治の 『人間失格』は英語題“No Longer Human” で知られています。

文ストライトノベル英語訳ではどのように登場するのか。

芥川龍之介の “Rashomon” は英語圏ではどのように感じられるのか。

英語で読むことで見えてくる、もう一つの文スト世界を掘り下げていきます。

文スト好きであれば、文ストライトノベル英語訳は、洋書の読書、英語多読の素材としても最適です。

Bungo Stray Dogs, Vol. 1 (light novel): Osamu Dazai’s Entrance Exam

今すぐ読めるKindle版で実際に英語版『太宰治の入社試験』を読んでいただけると一層楽しめると思います。

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