(AIが生成したイメージ画像を使用しています。)
【このブログ記事には、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』について若干ネタバレを含みます。ご注意ください。】
英語とフランス語の読書が大好き、ヒデです。
これまで、僕が英語読書をできるようになった経験を基に、「英語読書ができるようになるまで」と題して、二つの記事を紹介してきました。
英語読書ができるようになるまで―マインド編
→「楽しむ」

英語読書ができるようになるまで―メソッド編
→「対話する」

今回は実践編です。
実際に英語原書をどのように読み進めていくのか。
その具体例として、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』英語原書 Harry Potter and the Prisoner of Azkaban を取り上げます。
結論から言います。
読書が好きな人なら、英語読書は想像しているよりずっと簡単です。
もしあなたが普段から小説を読む人なら、英語読書に必要な才能の大部分は、すでに持っています。
必要なのは英語力ではありません。
「英語で読んでみよう」という決断だけです。
協力者紹介
さて、今回の「実践編」には、僕がスタイリッシュ読書会でお世話になっている二人、コウキ君とタク君に登場してもらいます。

僕は、スタイリッシュ読書会が始動する以前、2024年12月から2025年2月にかけて、二人のために、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の英語原書、『Harry Potter and the Prisoner of Azkaban』の読書会を企画し、二人に参加してもらいました(なかば強引に)。
僕は、この二人であれば、必ず『アズカバンの囚人』英語原書を読み通せると確信していたのです。
コウキ
男性。2024年12月当時、大学生1年生。
日本文学を愛好し、太宰治や三島由紀夫の作品を愛読。
ハリー・ポッターシリーズはお気に入りの作品で、日本語訳全7作品を2周していた。
2024年8月、英語の読書をしたいと考えていたところ、ヒデに出会う。
ヒデに出会って数カ月、薄っぺらな英語初学者向けの本(名作文学の超簡易英語版)を読んでいた。
ヒデは内心で相当苛立っていた。
コウキならばそんな薄っぺらい簡易版ではなく、普通の洋書を問題なく読めると確信があった。
そこで、ヒデは、最初は優しく、簡易版ではない原書、作者によるオリジナルの英語を読むように、それとなくおすすめした。
ところが、コウキは「自分には分厚い洋書は読めない」などと根拠のない発言をしたことで、ヒデの苛立ちが頂点に達し、ヒデは激怒した。
ヒデは、コウキの読んでいた薄っぺらい簡易版の本を投げ捨て、今すぐ、これを読めと、Harry Potter and the Prisoner of Azkabanを押し付けるに至った。
タク
男性。現在はヒデの同業者。スーパーエリート。
読書好き。宮部みゆきや村上春樹の作品を愛読。
ハリー・ポッターシリーズは日本語訳全7作品を高校時代に1回読んでいた。
2024年12月当時は、ヒデの下で、ヒデの本業に関する研修をしていた。
ところが、タクは、将来海外留学を目指しており、ヒデによる研修中、英語の勉強をしていた。
これにヒデは激怒した。
研修と関係ないことをしていたことにではない。
むしろ、将来の留学を視野にできるだけ英語力を高めようとしている向上心には大変な感銘を受けたていた。
ヒデが激怒したのは、英語の勉強として大学受験で使うようなしょうもない英単語帳を読んでいたことだった。
ヒデは、タクから、英単語帳を取り上げ、机に叩きつけ、「こんなもの捨てちまえ」と怒鳴るに至った。
かわりにKindle端末を押し付けられ、Harry Potter and the Prisoner of Azkabanをダウンロードさせられるに至る。
なお、タクの本業に関する研修についてはたいへん優秀でヒデから指導することは特になかった。
今後の活躍を期待している。
なぜハリー・ポッターなのか
2024年当時、僕は、英語読書について語り合える仲間を貪欲に探していました。
その時、この二人に出会ったのです。
二人とも相当な読書家であり、英語に興味があったにもかかわらず、これまでにまともな洋書は一冊も読んだことがなかったということでした。
これは多少強引にでもまともな洋書を読ませるしかないと決意しました。
まず、前提として、二人ともハリー・ポッター全作品を日本語で読んだことがあり、作品として好みにあっていることがわかっていました。
これはハリー・ポッターで行くしかないと思いました。
当然、僕もハリー・ポッターは、英語多読初期に英語原書で読んでいました。
ハリー・ポッターであれば、その面白さは世界的に評価が確立しており、間違いありません。
そのオリジナリティあふれる魔法の世界観は今更説明するまでもなく、「楽しむ」対象として申し分ないでしょう。
しかも、ハリー・ポッターシリーズを英語で読むということは、J.K. Rowling の原文に触れるということであり、原作者自らの、生の言葉を通じて、全く濁りのない、クリアで活き活きとしたハリー・ポッター世界を味わうことができることを意味しています。
日本語訳でしかハリー・ポッターの世界を知らない日本人とは一線を画する別次元の楽しみを味わうことができることになるのであり、読書のモチベーションを高めるのには最適です。
また、全世界で愛読者が多数いるわけで、英語話者と会話で盛り上がるための素材としてこれ以上のものはないと思ったのです。
なぜ『賢者の石』ではなく、『アズカバンの囚人』なのか
ここで、ありがちなのが、シリーズものを読もうと思って、最初から読み始めたはいいものの面白い場面にたどり着く前に挫折することです。
みんな内容は知っていて、ネタバレを気にする必要はない。
どうせなら一番面白いところから読めばいい。『アズカバンの囚人』は前2作よりも断然面白さが増しており、シリーズで最も面白いと評価する方もいるのではないでしょうか。
とはいえ、バランスも大事です。
面白さだけなら、『炎のゴブレット』や『死の秘宝』など、シリーズ中でもっと面白い作品はあるぞという異論もあると思います。
しかし、『炎のゴブレット』は語数が約20万語であり、読み終わるのに時間がかかってしまうかもしれない。
読了した達成感は早めに味わってもらい、僕が本当におすすめしたい作品に早く移行したい。
ということで、半ば強引に『アズカバンの囚人』読書会がスタートしました。
読み進め方
コウキ:自分は、これまで1~2万語のすごく簡単な英語で書かれた本しか読んでいなかったので、いきなり『アズカバンの囚人』英語原書を読むことができるか不安なのですが。
タク:実は、高校生の頃、『賢者の石』を英語で読んでみようと思い、挫折したことがあるのですが。
ヒデ:お二人であれば必ず読み通せます。
いいから読み進めてください。
その際、次の視点に関連する英文をピックアップしながら読むようにしてください。
英文を読む際の視点
- 一番好きな登場人物は誰か?
- 登場する特殊な概念・物等で一番面白いと思うものは何か?
- 次の伏線で一番印象に残っているものはどれか?
- ⑴ シリウス・ブラックの正体、目的
- ⑵ ルーピン先生の秘密
- ⑶ 裏切り者の正体、隠れ方
- ⑷ ディメンターとパトローナム
- ⑸ ハーマイオニーの時間魔法
- ⑹ バックビークの不当な扱い
- 作品の面白さを5段階(S、A、B、C、D)で評価する。
評価基準は次のとおり。
(完全に各自の独断と偏見で)- S 過去に読んだ本の中で一番面白かった作品に匹敵する面白さだった。
- A 一番ではないが、過去に読んだ本の中で上位30%には入る面白さだった。
- B 平均的な面白さであり、過去に読んだ本の中で上位40~60%台の面白さだった。
- C あまり面白くなかった。
- D まったく面白くなかった。
英語の視点は?
コウキ:英語に関する視点がないのですが……
ヒデ:当たり前です。
英語読書である以前に、ただの読書なのです。
普段読書で無意識に考えていることを英語で意識的に行ってくださいと言っているだけです。
タク:これは、英語原書を読まなくても答えられてしまうかもしれないのですが……
ヒデ:全然いいです。既にタク君の中にある答えを、英語で拾い上げてきてください。
コウキ:これで本当に英語の読書ができるのでしょうか。
ヒデ:英語だろうが、日本語だろうが、本を通じて得たいと思っている要素は一緒のはずです。
本を読む楽しさって、例えば次のようなことではないですか?
①魅力的なキャラクターに出会える
日常生活では決して出会うことのできない魅力的なキャラクターたちと出会えることが小説を読む何よりの醍醐味でしょう。
②非日常を体験できる
普段の生活では決して体験できない出来事を疑似的に体験できることも小説の魅力だと思います。
ハリー・ポッターの世界はこれが顕著ですよね。
コウキ:たしかに、一般論としては、その通りだと思います。
ヒデ:では、英語でもこれをやればいい。
タク:本を評価するというのは普段あまり、意識していないし、ちょっと偉そうじゃないですか?
ヒデ:タク君はAmazonレヴューで星を付けている人が偉そうだっておっしゃるのですか。
本は、公表されている以上、評価されることを待っています。
むしろ、評価者の視点に立って、批判的に見ることによって、真に優れているところも見えてくるのです。
学生時代は人から評価されるばかりだったと思いますが、これからは自ら主体的に評価していくようにするべきです。
そして、評価をするためには、根拠を探す必要があります。評価の根拠を求めて物事を眺めると、いろいろなことが見えてきます。
コウキ:自分独自の評価でいいのでしょうか。
ヒデ:まったく自由でいいです。
僕は、誰かの受け売りの意見を聞きたいなどとは微塵も思っていません。
タク君、コウキ君がどう感じ、考えたかをそのまま知りたいのです。
言っておきますが、これは学校の試験ではないので、正解などあるはずはないし、正解など求めていません。
読書は絶対的に自由です。
どのような評価・意見であっても絶対的に尊重します。
ですから、自ら主体的に本に対して問いかけていって欲しいのです。
タク:これは英語の話なんでしょうか?
ヒデ:読書一般の話であり、英語読書も読書なのだから当然です。
あっさり読了
こうして、2024年12月に始まったコウキ君とタク君との『アズカバンの囚人』英語原書読書会ですが、2025年2月までには、二人とも、あっさりと読了してしまいました。
ヒデ:ほら、だから読めるって言ったでしょ!
コウキ:初めて10万語クラスの洋書を読むことができて自信になりました。
タク:意外なことに、わりと読めるんですね。
読む過程で、上記の視点について、ヒデさん、コウキ君と相互に確認することで興味が増幅され、読み進めることができた気がします。
コウキ:ヒデさんのプレッシャーが相当きいていた気がします。
自分はプレッシャーをかけて引っ張ってもらった方が読み進めることができるのかもしれないと感じました。
タク:ヒデさんのプレッシャーがきつかったのは確かですね。
ただ、英語で読むと日本語で読んでいた時には気が付かなかったこと、日本語訳が変だなと思っていた箇所について、原文で意味がスッキリわかることがありました。
単純に面白かったです。
ヒデ:英語がわからない部分はそれなりにあったのではないですか?
コウキ:結構ありましたが、内容を知っていたのと、ヒデさんのプレッシャーで先に進まなければと思い、読み進めることができました。
タク:僕はキンドルで読んだのですが、タッチするとすぐに辞書が表示されるので、思ったより大丈夫でした。
集中して読み進めているときは意外と辞書はひかなかったですね。
ヒデ:では、せっかくですので、二人が読了するまでの間に、読書会で検討した内容の一部を紹介します。
一番好きなキャラクター
- コウキ:スネイプ先生
- タク:ハーマイオニー
- ヒデ:ハーマイオニー
面白いと思う概念・物
- コウキ:ディメンター
- タク:Knight Bus(a triple-decker)
- ヒデ:クィディッチ
印象に残る伏線
- コウキ:ハーマイオニーの時間魔法
- タク:シリウス・ブラックの正体と目的
- ヒデ:ルーピン先生の秘密
『アズカバンの囚人』評価
- コウキ:A
- タク:A
- ヒデ:A
全員一致でA評価となりました。
なぜSではなくAなのか
タク:『賢者の石』『秘密の部屋』よりも、J.K. Rowling の筆力がさらに高まっているのを感じました。
伏線の張り方も巧みですし、想像力も圧倒的です。
ただ、その一方で、盛り込まれている要素が非常に多く、もっと詳しく語ってほしい部分もありました。
例えばシリウス・ブラックのアズカバン脱獄。
あれだけでも一冊書けそうな題材です。
そう考えると、『炎のゴブレット』以降で一気に長編化していくのも納得できます。
ヒデ:なるほど。
つまり、『アズカバンの囚人』はシリーズが本格的に化け始めた作品であり、その後の超大作への橋渡しでもあるということですね。
まとめ
英語読書は「英語の勉強」ではなく「読書」である
今回協力してくれた、コウキ君とタク君は、それまでまともな洋書を一冊も読んだことがありませんでした。
にもかかわらず、二人とも約10万語の『アズカバンの囚人』を読み切りました。
なぜでしょうか。
理由は単純です。
二人とも、
「読書が好きだった」からです。
太宰治を読む人。
宮部みゆきを読む人。
そういう人たちは、本の楽しみ方をすでに知っています。
魅力的な登場人物に出会うこと。
伏線に驚くこと。
好きな場面について語り合うこと。
作品を評価すること。
これらは僕の言いたかった「本との対話」そのものです。
英語読書とは、それらを英語で行うだけです。
実際、今回の読書会でも、
「この単語を覚えよう」
「この文法を分析しよう」
という話は、一切、全くしていません。
代わりに、
「誰が一番好きか」
「どの伏線が一番すごいか」
「この作品をどう評価するか」
そんな話ばかりしていました。
つまり、やっていることは普通の読書そのものなのです。
もしこの記事を読んでいるあなたが、
- 海外小説が好き
- いつか洋書を読んでみたい
- 英語を趣味として楽しみたい
と思っているなら、
ぜひ今日、Kindleストアや書店で Harry Potter and the Prisoner of Azkaban を手に取ってみてください。
最初の数ページで分からないところは必ずあります。
それで大丈夫です。
コウキ君もそうでした。
タク君もそうでした。
僕もそうでした。
それでも読み進めるうちに、ある瞬間気付きます。
「あれ? 意外と読めるぞ」
と。
そして気付けば、
英語の本を読むことが特別なことではなくなっています。
その先には、
J.K. Rowling の原文で味わうハリー・ポッター、
村上春樹の英訳、
カズオ・イシグロの英語原書、
そして世界中の無数の物語が待っています。
英語を学ぶために本を読むのではありません。
面白い本を読むために英語を使うのです。
その最初の一冊として、『Harry Potter and the Prisoner of Azkaban』は、これ以上ないほど素晴らしい選択肢だと思います。
さあ、本棚の前で悩む時間はもう十分です。
次に開くべきページは、英語で書かれています。
(僕たちの英語読書のさらなる実例を知りたければ、以下の記事も参照。)

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