(AIが生成したイメージ画像を使用しています。)
英語とフランス語の読書が大好き、ヒデです。
英語多読初心者、英語多読を始めたばかりの皆様にぜひともおすすめしたい洋書を紹介していきます。
今回紹介したいのは村上春樹作『1Q84』の英語訳です。
英語が非常に簡単であるにも関わらず、極めて面白く、その文章は圧倒的深みを有しており、英語多読にとって、これ以上ない素材だと思います。
これから、なぜ、『1Q84』英語訳が英語多読初心者におすすめなのか詳しく説明します。
僕は、英語多読を始めたばかりの2020年に一度読み、面白いと感じていました。
これを2025年5月から11月に実施したスタイリッシュ英語読書会の課題図書にして、読書会メンバーと深く検討したところ、その驚異的な深みに圧倒されるに至りました。

ただし、村上春樹作品の英語訳はテイストの問題として、好みが分かれる可能性があり、必ずしも万人におすすめできるわけではありません。
そこで、『1Q84』がどのような人におすすめなのか、どのような人にはおすすめできないのかについても紹介します。
ネタバレは一切しないようにしますので、ご安心ください。
『1Q84』について具体的に説明するまえに、まず、僕の英語多読にとって、村上春樹作品英語訳がどのような存在かを簡単に紹介しておきます。
村上春樹英語訳を通じて英語多読できるようになった経緯
僕が英語の多読を開始したのは、2019年3月頃でした。当時、社会人で、年齢は30代半ばでした。
保有する英語資格としては中学時代に取得した英検3級を持っているくらいでした。
学生時代は受験やお勉強として触れる英語が非常につまらないと感じており、外国語に興味をもてず、英語が嫌いになりました。
大学時代に選択していた第二外国語であるドイツ語について、現在は、何一つ記憶しておらず、挨拶すらできません。
2018年頃、海外旅行に行った際は、さっぱり英語がわからず、あらゆる問いかけに「yes」だけで答えていたのは良い思い出です。
そんな僕でしたが、ある日、ふと、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズ英語原書を読みたいと思いました。
シャーロック・ホームズは小学校時代から愛好しており、日本語訳を通して、4つの長編、56の短編いずれも内容は熟知しているはずでした。
ところが、挫折してしまったのです。
英語の難しい言い回しや単語など、「わからない」部分に気を取られてしまったことが原因だったと今は思っています。
その後、村上春樹作品英語訳を読んでみたところ、世界が変わったのです。
僕は、次のように、村上春樹作品英語訳を読了していき、『ノルウェイの森』英語訳の読書体験が強烈過ぎて、すっかり英語でしか読書しないようになりました。
- 海辺のカフカ
約15万語
2019年4月読了
(村上春樹作品が英語になるととてもスタイリッシュになったように感じる) - 世界の終わりとハードボイルドワンダーランド
約12万語
2019年5月読了
(やや難しく挫折しかける) - ノルウェイの森
約12万語
2019年8月読了
★ここで受けた衝撃がすごすぎて以後英語でしか読書をしないようになる - ねじまき鳥クロニクル
約25万語
2019年12月読了
(英語の読書の方が面白いことを確信する) - 騎士団長殺し
約25万語
2020年6月読了
『1Q84』英語訳は、2020年6月に読み始め、同年8月にかけて約2カ月で読了しました。
『1Q84』がこのタイミングだった理由ですが、その分量に圧倒されて怖気づいていたからです。
しかし、『ねじまき鳥クロニクル』英語訳と『騎士団長殺し』英語訳といういずれも25万語程度の大作を読み通し、これは『1Q84』英語訳も読めるだろうと考え、読み始めたのでした。
僕の『1Q84』英語訳評価
2020年の英語多読初期に読み、2025年のスタイリッシュ読書会の検討を終えた、2026年5月現在の僕の、『1Q84』英語訳に対する評価は次の通りです。
僕が勝手に設定した尺度でまず結論を示します。
- 英文の深み:5(極めて深い)
- 英文の難度:1(極めて簡単)
- 面白さ:S(これまでに読んだ最も面白い本に匹敵する面白さ)
各尺度について、説明します。
おすすめ評価の尺度
英文の深み
僕は英語多読の素材としておすすめの洋書を紹介するに際し、「英文の深み」という尺度を用います。
これは、英文の有する情報の質と量、影響力、広がりなどを総合的に評価したものと考えてください。
僕の独断と偏見で5段階評価しました。
もちろんなるべく深い方がいいです。
目安は次のとおりです。その作品全体を通じて英文が以下のどのような性質を有しているかを僕の独断と偏見で評価していきます。
- 5(極めて深い):
大きな感動を伴う文章、様々な含意から深く物事を考えさせる文章、見たこともないような素晴らしい景色をイメージさせてくれる文章 - 4(非常に深い):
感動を伴う文章、様々なことを考えさせる文章、良い景色をイメージさせてくれる文章 - 3(それなりに深い):
感情に訴えかける文章、それなりに意味はある文章 - 2(あまり深みはない):
ほとんど影響力のない、意味の薄い文章 - 1(深みはない):
何の意味もない文章、読むだけ時間の無駄
なお、1(深みはない)に分類されるのは、文法書の例文やTOEICなど資格試験の問題文が典型です。僕は決して1に分類される文章は読みません。
僕はそんなに暇ではないのです。
「英文の深み」は平たく言えばどれだけ意味のある文章かということです。
もちろん、ある文章にどのような意味を見出すかは読者各人の全くの自由であり、「楽しさ」「面白さ」「喜び」「悲しみ」「勉強になる」「参考になる」など見出す意味は何でもいいのです。
読者であるあなたにとって意味があればいいのです。
極論ですが、意味のある文章にアクセスできるのであれば、英語など読めなくてもいいのです。
有意義な情報に効果的にアクセスできるのであれば何だっていいのです。
しかし、残念ながら、現実には、日本語を通じてでは、英文を通じてほどに有意義な情報にアクセスできないのです。
アクセスできる情報の質が日本語と英語では雲泥の差なのです。
一度英語を通じた読書をしてしまうとこのことは明らかです。
逆に言うと、質の良い情報にアクセスするために英語を読んでいるのですから、中身のない、質の低い英文は読む必要がありません。
そんなものを読むのは時間の無駄です。
日本語を読むほうがよっぽどましです。
そのうえで、英文の深みは、読者各自が完全に自由に決めてよいのです。
児童書だろうが、ライトノベルだろうが、その文章にあなたが何らかのかたちで感動したのであれば、英文の深みを高く評価してよいのです。
英文の深みは自分が決めることであって、僕の提供する5段階評価はあくまで参考と理解してください。
とにかく、いいたいのは自分自身が深みを感じる文章を読んでいただきたいということです。
英文の難度
「英文の難度」は用いられている言い回しや単語から、どの程度読むのに困難を伴うかという尺度で、5段階で評価しました。
もちろんなるべく低い方がいいです。
参考までに僕がこれまでの英語多読において読み通してきた作品を例として上げます。
- 5(極めて困難):
単語や言い回しに見慣れないものが極めて多数あり、読み進めるのが極めて困難
具体例:シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』、エミリー・ブロンテ『嵐が丘』 - 4(非常に困難):
単語や言い回しに見慣れないものが相当多数あり、読み進めるのが困難
具体例:マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』、ディケンズ『クリスマスキャロル』 - 3(多少の困難はある):
単語や言い回しがわかりにくいものがそこそこあり、多少の困難はある
具体例:コナン・ドイル、アガサ・クリスティ、ハリー・ポッターシリーズ - 2(ほぼ困難はない):
あまりわかりにくい部分はなく、たまに読みにくいと感じる部分がある
具体例:三体三部作英語訳、アンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』 - 1(まったく困難はない):
わかりにくい部分によって読書を妨げられることがない。簡単。
具体例:村上春樹作品英語訳、カズオ・イシグロ作品
『1Q84』英語訳は、2020年当時の僕の感覚でも、1(まったく困難はない)に分類されていました。
面白さ
面白さについては、僕がこれまで読んだ本をもとに、完全に僕個人の主観で定めたものです。
僕がこれまでに読んだもっとも面白い本を基準として、次の5段階で評価しました。
言うまでもなく、高い方がいいです。
- S:これまでに読んだもっとも面白い本に匹敵するかそれを超える面白さ
- A:もっとも面白い本ほどではないが上位30%台に入る面白さ
- B:上位40%台~60%台に入る面白さ。面白いとはいえる
- C:あまり面白くない
- D:まったく面白くない
なお、僕にとって、Sの基準となる、「これまでに読んだもっとも面白い本」は、
村上春樹『ノルウェイの森』英語訳とドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』英語訳(P&V訳)
です。
英語訳『1Q84』の面白さについては、スタイリッシュ読書会のメンバーは5段階中SとAで意見が2分されました。
僕はSと評価しましたが、A評価が半数あったことは正直にお伝えしておきます。
好みの問題はどうしてもあります。
詳細はいずれ、スタイリッシュ読書会の『1Q84』英語訳の記事で紹介したいと思っています。
『1Q84』英語訳の評価理由
『1Q84』は村上春樹の最大長編であり、Book 1~ Book 3 の3分冊構成で、Book 1 が24章、Book 2 が24章、Book 3 が31章の合計79章、総語数約40万語という大作となっています。
分量だけ見ると、『風と共に去りぬ』英語原書や『アンナ・カレーニナ』英語訳に匹敵する巨大な物語であり、読むのを躊躇する方がいらっしゃるかもしれません。
僕も正直、2020年当時、読み始める前は、相当圧倒されていました。
しかし、ご安心ください。この記事をここまで読んだ皆様であれば必ず読み通せます。
実際、2025年に実施したスタイリッシュ読書会では、読書会メンバー達はなんの苦労もなくあっさりと読み終わりました。
村上作品の英語はとても平易で読みやすく、難度は1と評価しました。
しかし、それにもかかわらず、内容は極めてオリジナリティーにあふれているうえ、巧みな叙述により、恐るべきリアリティーをもって読者に迫ってきます。
そのため、ひとたびこの作品を読み始めれば、あっという間にその世界に引きずり込まれ、本の分量だの、若干わからない英単語があるだのといった些末な問題はすぐに雲散霧消します。
とはいえ、英語多読初心者の皆様の中には、40万語クラスの大作を英語で読むのは初めてという方もいらっしゃると思います。
また、読み始めてみたけれども、すぐにはそのような感覚を有することが出来ないという方もいらっしゃるかもしれません。
最後まで読み進めるためにどうすればいいか。
簡単です。
面白さがわかればいいのです。
面白くて、とにかく先を読みたいという気持ちになれば、技術的な問題はさておき勝手に読み終わります。
そこに英語力は関係ありません。
仮に、英単語の意味がわからないなどというつまらないことに気を取られるとすれば、まだ好奇心が足りないということです。
先を読みたくなるエネルギーになるのは、知りたいという欲求、好奇心だけです。
『1Q84』英語訳は、村上作品の到達点ともいうべき仕上がりになっていて、多数の優れた側面を有していると思いますので、ネタバレしないように、若干抽象論になってしまいますが、その面白さを僕がSと評価する理由をお伝えします。
エンターテイメント小説として面白い
まず、『1Q84』英語訳は、エンターテインメント小説的に楽しむことが可能です。
非常にユニークな設定、ストーリー展開、キャラクター、すべての要素が高い完成度を有していると思います。
青豆(女性)と天吾(男性)という二人の主人公の物語が並行して展開していきます。
これは、『海辺のカフカ』や『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』にみられる、村上春樹が最も得意とする手法で、『1Q84』に至ってその極みに達したと思われます。
基本的には奇数の章が青豆、偶数の章が天吾による視点となっています。
読んでいただければわかりますが、それぞれのキャラクター、世界観は、極めてユニークであるにもかかわらず、そのデティールが精緻に作りこまれ、驚くべきリアリティと説得力を有しています。
僕は、まず、その精巧に作りこまれた『1Q84』英語訳における村上ワールドを楽しみ尽くしていただきたいと考えているのです。
そうすれば、おのずと40万語以上に及ぶ大作『1Q84』英語訳をあっという間に読み終わってしまうと思うのです。
文学としての深みも計り知れない
さらに、『1Q84』英語訳はそれにとどまらず、読者を幻惑的な世界に誘い、我々の存在自体に対する深遠な問いかけを発してくることになるのです。
一度読んで「あ~面白かった」という感想をもつ人は多いと思います。僕も2020年の初読時はそのような感想を抱きました。
ファンタジー小説的、恋愛小説的に非常に面白いと感じたのです。
しかし、ただ面白いだけのエンターテイメント小説はたくさんあります。
それだけでは、僕が、英語多読おすすめの一冊として最初に紹介するはずはありません。
スタイリッシュ英語読書会の2冊目の課題図書に指定するはずもありません。
「あ~面白かった」だけでは、真に「1Q84」を楽しんだことにはならないのです。
『1Q84』英語訳には、一読では首を傾げざるを得ない多数の疑問が存在します。
当然、何度も読んでいただきたいのです。
何度も読むに堪える作品だからこそ、英語多読の素材としておすすめしているのです。
ぜひ、皆様には、英文を通じて、『1Q84』を骨の髄までしゃぶりつくして楽しんでいただきたいのです。
『1Q84』英語訳がそのような楽しみに堪える作品であることは、僕が保証します。
Book 1 Chapter 1 (青豆視点)において謎のタクシードライバーが登場します。
彼から青豆に投げかけられる
But don’t let appearances fool you. There’s always only one reality.
という問いかけがあります。
どうでしょうか、英語でよむととてもカッコよくないですか?
初読時の僕は、作者村上春樹が、作品をお洒落にするため、何か、格好いいことをテキトーに言わせただけなのかなと感じており、あまり、深く考えていませんでした。
しかし、スタイリッシュ読書会のメンバーと半年かけて精読した結果、これが、極めて深い問いであり、この問いに基づく『1Q84』という作品を通じた壮大な試みは見事というほかないと感じるにいたっています。
これは凡百の作家になせる技ではありません。
「世界の村上」だけがなしうる、まさに、マスターワークと言えます。
注意点、英語多読の素材として向かない人
『1Q84』英語訳を英語多読の素材とすることに向かない人がいることも否定は出来ません。
これは、村上春樹作品一般に言えることなのですが、
文中には露骨な性表現が多数あり、こういった表現が好みに合わないという方には注意が必要です。
また、村上春樹の視点を通じた女性像、男性像はかなり偏った側面があるといわざるを得ず、この点に嫌悪感を有する方が一定数いることも否定できません。
実際、学生時代の僕は、村上春樹作品のこういった側面を、正直「気持ち悪い」と感じ英語多読を開始するまで、村上作品からは離れていました。
スタイリッシュ読書会での議論を終えた今振り返ると、村上作品のそうした側面にもそれなりの意味が込められており、そのテーマ設定、叙述方法は極めて見事と思うに至っています。
しかしながら、その実態は、極めてセンシティブな内容で、好みが分かれるものであり、人によっては嫌悪感を生じるであろうことも想像に難くありません。
実際、読書会のメンバーには、この点をマイナスに評価し、構成の見事さにもかかわらず、総合的な面白さをAと評価した意見もありました。
もっともかと思います。
まとめ それでも僕は『1Q84』英語訳をおすすめします
それでも、僕は、『1Q84』英語訳を村上春樹作品の最大・最高傑作と考えており、このようなユニークで圧倒的深みを有する作品を生み出せる日本人作家を僕は他に知りません。
しかも、僕は、村上が、大多数の読者がその壮大な試みに気が付かないことも厭わないと考えながら、文学史上空前絶後の仕掛けを『1Q84』に組み込んだとしか思えないのです。
極めて挑発的な態度ではありますが、その唯一無二の挑戦的なスタイルは評価されて良いように思います。
広く万人に受け入れられる面白い本も確かに素晴らしいです。
しかし、僕たちの思索を深め、世界の多義性に対する柔軟な思考を涵養するには、『1Q84』のような尖鋭的な問いかけをする本と向き合うことが必要なのではないでしょうか。
世界に出れば当然、日本人の感覚としては受け入れることが難しい価値観と向かい合う必要があるはずです。
そうであるとすれば、『1Q84』のような作品と向き合い、そのオリジナリティあふれる世界に対して、理解しようと努めていく過程には相当に大きな意味があると思います。
実際、『1Q84』英語訳のスタイリッシュ読書会を通じて経験した思考の道程は、少なくとも僕にとっては、大きな成長につながるものだったと思っています。
『1Q84』英語訳の読書が、英語多読初心者の皆様にとって、単なる目先の英語力向上ではなく、世界で戦える、真の意味での読解力や広い視野を獲得するための礎となればこれにまさる喜びはありません。
『1Q84』の実態や、その壮大な試みの詳細についてはいずれ、ネタバレ全開で、スタイリッシュ読書会の記事を通じて紹介していきます。
ぜひ、ご期待ください。
(実際のスタイリッシュ読書会の様子はこちらの記事もご覧下さい。)

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