英語訳村上春樹『1Q84』16 天吾と青豆のいる世界――現実とは スタイリッシュ英語読書会23【Book 2全体に言及】

介護施設のベッド スタイリッシュ英語読書会

(AIが生成したイメージ画像を使用しています。)

【この記事では、英語訳『1Q84』Book 2全体に言及します。】

英語とフランス語の読書が大好き、ヒデです。

2025年9月に実施された英語訳『1Q84』第4回読書会。今回紹介するのは、その最後の議論です。

いよいよ、Book 2の終盤に到達しました。

これまでの記事では、青豆と天吾、それぞれの視点から語られる物語を別々に議論してきました。

そして、僕がメンバーたちに提示した仮説。

天吾が書いている長い小説は、青豆の物語ではないか?

英語訳村上春樹『1Q84』12 天吾の書いている長い小説を読む――極論主義者ヒデ、ついに自説を語る スタイリッシュ英語読書会19【ネタバレ厳重注意、Book 1からBook 2, Chapter 13までの全体に言及】
英語訳『1Q84』Book2, Chapter 13でLeaderから示された「天吾の書いている長い小説」について、ヒデが私見を述べる。読書会メンバーの受けた衝撃。この読み方により、より楽しく、面白い読書が可能となる。英語訳村上春樹『1Q84』12番目の記事、スタイリッシュ英語読書会19番目の記事。

この仮説を採用すると、Book 2前半までの不可思議な展開に、一筋の光が差し込むように感じられました。

ところが、

Chapter 18で天吾が夜空を見上げ、

(詳細は、英語訳『1Q84』14の記事を参照。)

英語訳村上春樹『1Q84』14 夜空を見上げた天吾――作者の世界に現れたもの スタイリッシュ英語読書会21【Book 2, Chapter 18まで言及】
父との面会を終え、東京に戻った天吾。ふかえりとの謎めいた会話と儀式を経て目にした夜空の光景が意味するものとは。作者であるはずの天吾は何によってどこへ導かれるのか。英語訳村上春樹『1Q84』14番目の記事、スタイリッシュ英語読書会21番目の記事。

Chapter 19で青豆が『Air Chrysalis』を読み、

(詳細は、前回の英語訳『1Q84』15の記事を参照。)

英語訳村上春樹『1Q84』15 『空気さなぎ』を読む青豆――夜空の光景の衝撃 スタイリッシュ英語読書会22【Book 2, Chapter 19まで言及】
最後の仕事を終え、隠れ家に潜む青豆。彼女が手にした『空気さなぎ』を通じて明らかとなるリトル・ピープルの実態。そして、夜空の光景がもたらす衝撃。英語訳村上春樹『1Q84』15番目の記事、スタイリッシュ英語読書会22番目の記事。

謎が解けるどころか、さらに一層深まってしまいました。

迷宮の奥に、さらに巨大な迷宮が現れたかのようです。

今回は、その実態に少しでも迫るべく、青豆と天吾、双方の視点を総合的に検討します。

検討の中心は次の5章で、Book 2全体を振り返ります。

  • 20 Tengo THE WALRUS AND THE MAD HATTER
  • 21 Aomame WHAT SHOULD I DO?
  • 22 Tengo AS LONG AS THERE ARE TWO MOONS IN THE SKY
  • 23 Aomame PUT A TIGER IN YOUR TANK
  • 24 Tengo AS LONG AS THIS WARMTH REMAINS

メンバーたちの鋭い指摘からもたらされる疑問の数々。

そこから導かれるのはあまりにも壮大な問い――。

というわけで、今回も、

読書は絶対的に自由である。

各自の感想を絶対的に尊重する。

この方針のもと、Book 2終盤からラストへ、メンバーたちとともに、大迷宮の奥深くへと分け入っていきたいと思います。

(英語訳村上春樹『1Q84』読書会のコンセプトとメンバー紹介はこちら。)

英語訳村上春樹『1Q84』1 なぜ、2冊目で40万語の超大作に挑んだのか スタイリッシュ英語読書会8【ネタバレなし】
村上春樹『1Q84』英語訳の魅力、スタイリッシュ英語読書会2冊目の課題図書に選んだ理由、読書会の進め方、最初の、冒頭のタクシーに関するテーマ設定。

作者天吾が、自分の書いた世界に迷い込む?

タク:
ヒデさんの仮説を前提にすると、天吾は、青豆の世界の作者であるはずでした。

そうすると、天吾自身は、その世界の外側にいたはずです。

ところが、その作者自身が、二つの月を見てしまった。

これは、作者が自分の書いた物語の中に入ってしまった、ということでしょうか。

コウキ:
逆に、作者が物語の中に入ったのではなく、物語のほうが現実を侵食し始めたという可能性もありますか?

タク:
まさに、天吾自身も同じようなことを考えています。

Chapter 20で天吾は、自分の置かれた状況について、疑問を抱きます。

Chapter 20 Tengo — THE WALRUS AND THE MAD HATTER

Could this mean, then―Tengo asked himself―that this is the world of the novel? Could I have somehow left the real world and entered the world of Air Chrysalis like Alice falling down the rabbit hole? Or could the real world have been made over so as to match exactly the story of Air Chrysalis? Does this mean that the world that used to be―the familiar world with only one moon―no longer exists anywhere? And could the power of the Little People have something to do with this in one way or another?

天吾は、自分が小説の世界に入り込んでしまったのではないかと疑い始めます。

そして、その可能性を『不思議の国のアリス』にたとえています。

加えて、天吾はもう一つの可能性も考えています。

現実の世界そのものが、『Air Chrysalis』の物語と一致するように作り替えられたのではないか、という可能性です。

ヒデ:
「作者が物語の中に入った」のなら、物語と現実の境界線はまだ存在しているようにも思います。

しかし、「現実が物語に合わせて書き換えられた」のなら、物語と現実の境界線自体が意味を失ってしまうような気がしてきます。

そもそも、どちらが本当の現実なのかという問題になりますね。

タク:
しかも天吾は、月が一つしかなかった、かつての世界が、もはやどこにも存在しない可能性まで考えています。

ここで『1Q84』の謎は、一段階深くなったように思います。

これまでは、青豆のいる世界は何なのか、という問いでした。

しかし、今度は、天吾のいる世界は何なのか、という問いが加わった。

いや、それどころではありません。

そもそも、現実とは何なのか。

青豆が見たのは、本当に天吾なのか?

マイ:
私が印象に残っているのは、Chapter 21。

Chapter 21 Aomame — WHAT SHOULD I DO?

Just then Aomame noticed something: she was not the only person looking up at the moons.

青豆が夜空の二つの月を見上げていると、自分以外にも月を見上げている人物がいることに気づく。

そして、

Then Aomame suddenly knew:
It was Tengo.

地の文で、天吾とはっきり名指しする。

knewという、事実を「知った」「わかった」といった表現になっており、単なる推測ではなく、あたかも客観的事実であるかのように、天吾が語られる。

青豆が見たのは、本当に天吾なのか。

ヒデ:
英語表現を見る限り、天吾と断定されていますね。

マイ:
もし、これが天吾であれば、Chapter 18の夜空を見上げた天吾と対応しているように見える。

二人が同じ二つの月を見ているということは、二人の世界が同じ世界である可能性が高い。

でも、作者である天吾が青豆の世界に入り込んでしまっているとすれば、青豆の世界で事実を断定しているのは誰なのか。

ヒデ:
なるほど。

僕たちはこれまで、天吾と青豆の物語を、交互に読み進めてきました。

奇数章は青豆、偶数章は天吾。

偶数章の天吾が奇数章の青豆を語っていると思っていた。

ところが、その境界があいまいになってしまっている。

マイ:
そう考えると、青豆が天吾を見たという事実は、単なる再会の予兆ではないのかもね。

二つの物語の関係そのものが変わったことを示す事実なのかもしれない。

ヒデ:
ここまで『1Q84』を読んできて、二人の関係が、単なる男女の再会の物語ではないことがわかってきました。

二人の接近は、世界の謎を解くことと、どこかで結びついているのかもしれません。

PerceiverとReceiver――天吾は何を受け取ったのか

コウキ:
自分が気になったのは、Chapter 22です。

Chapter 22 Tengo — AS LONG AS THERE ARE TWO MOONS IN THE SKY

天吾は、自らの目にした二つの月について、なぜ『Air Chrysalis』の世界が出現したのか、ふかえりに問いかけます。

これに対し、ふかえりが非常に興味深いことを言います。理解を深めるため、日本語原文も併記します。

“Because we wrote the book together.”

原文:わたしたちはふたりでホンをかいたのだから

そして、ふかえりは自分と天吾を指さして、それぞれの役割を説明します。

She pointed her right index finger at herself and then at Tengo. “I’m a Perceiver, and you’re a Receiver.”

このPerceiverとReceiverという区別が、何を意味しているのかが分からないのですが、非常に気になります。

ヒデ:
Perceiverは、知覚する者、

Receiverは、受け取る者、

でしたね。

コウキ:
はい。

でも、普通に考えると、小説を書くのは作者です。

作者が物語を創造する。

ところが、ふかえりの説明では、天吾はReceiverなんです。

一方、ふかえりは、Perceiverだというのです。

どちらが作者というのでもない。

ふかえりの説明は単なる共同著作というのともちょっと違う気がします。

ヒデ:
つまり、ふかえりの説明によると、本を書く行為は、

何かを知覚する行為と、

何かを受け取る行為に

分けることができるということでしょうか。

ふかえりが知覚したものを、天吾が受け取り、文章にする。

この二つが合わさって、初めて、本を書くことになる……。

コウキ:
そうだとすると、

ふかえりはPerceiverとして、何を知覚したのか。

天吾はReceiverとして、何を受け取ったのか。

そして、それが本になることで何が起きたのか。

ヒデ:
何か、この世界の構造がわかりかけているような気がしますが、まだ、はっきりとそれが形にならない。

ふかえりの説明にはもどかしさがありますね。

融合する世界――青豆の呼びかけ

ヒナ:
私は、Book 2の青豆と天吾の各ラストが非常に決定的だと感じています。

まず、Chapter 23。

Chapter 23 Aomame — PUT A TIGER IN YOUR TANK

青豆は、かつて自分が通った非常階段を探します。

1984年の世界から、1Q84年の世界へ導かれた、あの非常階段です。

ところが。

Her exit was blocked.

非常階段が、なくなっていました。

青豆はピストルを自分に向けます。

そしてChapter 23の最後。

“Tengo!” said Aomame, and started to squeeze the trigger.

青豆は、天吾の名を叫ぶのです。

ヒデ:
Book 2青豆視点の物語における非常に印象的なラストですね。

ヒナ:
はい。

青豆が「Tengo!」と呼んだことを、ぜひ記憶にとどめておいてください。

次に、Book 2天吾視点のラスト、Chapter 24です。

Chapter 24 Tengo — AS LONG AS THIS WARMTH REMAINS

天吾の眼前に、実態を伴ったair chrysalisが登場します。

その中には、10歳の青豆が眠っていました。

天吾は青豆に呼びかけます。

“Aomame,” Tengo said aloud.

そして、私が注目したのは次の文章です。

Aomame heard the call from far away.

ヒデ:
これは……!

主語が、青豆!

天吾視点で進んでいたはずの物語に、突然、青豆視点の文章が入り込んでいますね。

ヒナ:
これは、天吾の章です。

これまで『1Q84』では、天吾の章と青豆の章が、明確に分けられていました。

天吾の章では天吾の視点を通じた文章が、青豆の章では青豆の視点を通じた文章が書かれていた。

ところが、ここで、天吾の章に、青豆の視点を通じた文章が登場する。

それまでの語りの境界が、明らかに揺らいでいるように感じられます。

ヒデ:
よく気がつきましたね!

ご指摘のとおりだとおもいます。

まるで、青豆の世界と天吾の世界が融合してしまったかのようですね。

ヒナ:
Chapter 23の最後とつながっているように感じませんか。

ヒデ:
まさに、そう思います。

Chapter 23の最後で、青豆は「Tengo!」と叫びました。

Chapter 24で、天吾は、青豆に呼びかけており、青豆は天吾の名前を遠くで耳にしていた。

もちろん、これが同じ瞬間を描いているのか、あるいは別の出来事なのか、現時点では断定できません。

しかし、二つの章の間に、強い響き合いを感じることは確かです。

これまで、天吾と青豆の世界は、並行する二本の線のようでした。

しかし、Book 2の終盤、その二本の線が互いに引き寄せられ、重なり始めているように見える。

物語の登場人物だけではなく、物語を語る仕組みそのものが、融合し始めているように感じられてくるのではないでしょうか。

いったいこれが何を意味しているのか――。

繰り返される「Ho ho」――三つの世界をつなぐ声

コウキ:
自分は、Book 2の最後に、もう一つ、ぜひ指摘しておきたいことがあります。

ヒデ:
何でしょう。

コウキ:
Little Peopleの掛け声です。

Chapter 19で青豆が読んでいた『Air Chrysalis』には、こんなやり取りが登場しました。

“Ho ho,” intones the keeper of the beat.
“Ho ho,” the other six join in.

実は、よく似た表現が、Chapter 20の天吾の物語にも、Chapter 23の青豆の物語にも登場するんです。

まず、Chapter 20(天吾視点)末尾。

“Ho ho,” called the keeper of the beat.
“Ho ho,” the other six joined in.

次に、Chapter 19(青豆視点)末尾。

“Ho ho,” said the keeper of the beat.
“Ho ho,” the six other Little People joined in.

ヒデ:
『Air Chrysalis』の世界、天吾の世界、青豆の世界の三つに、同じ掛け声が現れるということですね。

コウキ:
はい。

自分が、ここで注目したいのは、三つの異なる物語の層に、Little Peopleの声が現れているということです。

ヒデ:
なるほど。

前回の記事でも指摘しましたが、『1Q84』は小説の三層構造と読むことができる。

一層目:村上春樹の『1Q84』、すなわち、小説を書く天吾についての小説。

二層目:青豆の物語である『1Q84』奇数章、すなわち、天吾が書く青豆についての小説。

三層目:青豆の読んだ『Air Chrysalis』、すなわち、もともと天吾が書き直した小説。

三層目、最も底にある層の声が、二層目、そして一層目まで響いてきている。

そうすると、この三つの層が本当に異なる層、すなわち、別々の世界なのか。

コウキ:
そうなんです。

この、各章末尾で響く、不気味なLittle Peopleの声によって、

自分の読んでいる世界がいったいどの世界の話なのかが全然分からなくなってしまうんです。

ヒデ:
非常に鋭いご指摘ですね。

三つの層が、同じ掛け声によって共鳴している。

もし、この反復が三つの世界の連続性を示しているのだとしたら、僕たちは、いったい何を読んでいるのでしょう。

小説の中に現実が入り込んだのでしょうか。

それとも、現実だと思っていたものが、最初から小説だったのか。

そして、皆さん、コウキ君の指摘から、

もう一つ重要なことが導かれることに気が付きませんか?

天吾と青豆のいる世界――現実とは何か

タク:
ヒデさん、コウキ君のLittle Peopleの声に関する指摘から導かれるもう一つの重要な点とはどういうことでしょうか。

マイ:
また、ヒデがとんでもないことを言い出しそうで嫌な予感がする。

ヒナ:
また「極論主義者」が何かを思いついてしまった雰囲気ですね。

ヒデ:
皆さん、人聞きが悪いですね。

繰り返しますが、僕は、英語訳『1Q84』をとにかく楽しく読むことにしか興味がないのです。

ここまで、Book 2を読み進め、僕たちは、

作者が、自分の書いた世界に巻き込まれている、

誰が作者で、誰が登場人物なのか、わからない、

原因と結果の法則がわからない、

そんな世界を体感させられていましたよね。

マイ:
確かにね。

ここまでの議論で、私は、もう、十分に眩暈をおぼえそう。

でも、こんな重層的な作品を形にした村上春樹はやっぱりさすがだなと思うな。

で、まだ、何かあるの?

ヒデ:
上で指摘した3層構造ですが、実は、4層構造ではないですか?

マイ:
え、どういうこと!?

ヒデ:
すなわち、0層目。

英語訳村上春樹『1Q84』を読んでいる僕たちの物語。

マイ:
ウッワ、出た、極論。

つまり、村上春樹は、英語訳『1Q84』の三層構造の融合を通じて、さらに、私たちの現実、つまり0層目に揺さぶりをかけようとしているってこと!?

ヒデ:
はい。僕は、そう思います。

僕たちの現実とは何か。

現実を形づくるものは何か。

これって、実は、結構難しい問題ではありませんか?

ヒナ:
ヒデの極論主義にはあきれるばかりです……。

ただ、確かに、私も、現実とは何か、という問題が気になってきました。

私たちは普段、自分が見ている世界を現実だと信じています。

しかし、それを確かめる方法は、実は簡単ではありません。

自分の記憶が正しいという保証も、自分が見ているものを他人も同じように見ているという保証もない。

コウキ:
そうですね。

そして、この小説では、その不確かさが、物語の具体的な出来事として現れている。

二つの月。

消えた非常階段。

小説から現実に現れるair chrysalis。

そして、天吾の章に入り込む青豆の意識。

どれも、現実と虚構の境界を揺るがす出来事です。

タク:
僕も、現実を揺さぶられている気がしてきました。

『1Q84』では、外側にいるはずの人物が、内側にいるのかもしれない。

さらに、内側の出来事が、外側の世界を書き換えているのかもしれない。

結局、現実を形づくっているものは何なのか。

小説として書かれたことが現実となっていくのか。

ヒデ:
現実とは何か。

虚構とは何か。

Book 2を読み終えて、僕たちはそんな壮大な問いの前に立たされているように感じます。

そうすると、冒頭のタクシードライバーによる、

“But don’t let appearances fool you. There’s always only one reality.”

という言葉から始まった『1Q84』という物語は、僕たちに、この壮大な問いの存在を示唆するものであったと思えるようになってくるのではないでしょうか。

(英語訳『1Q84』2の記事も改めてご覧ください。)

英語訳村上春樹『1Q84』2―謎のタクシードライバーと“There’s always only one reality.” スタイリッシュ英語読書会9【冒頭部分の内容に言及】
英語訳『1Q84』Book 1, Chapter 1 から、タクシーとタクシードライバーから青豆に対する印象的な警句についての第一印象に関する議論を紹介。様々な捉え方から『1Q84』世界の底知れなさが垣間見られる。

しかし、英語訳『1Q84』は、ここで終わりではありません。

まだBook 3が残っているのです。

Book 2を終えて――謎はさらに深く巨大なものに

タク:
それにしても、すごい小説ですね。

最初は、青豆と天吾という二人の物語だと思っていたのに、いつの間にか、「現実とは何か」という世界の構造そのものを考えさせられている。

コウキ:
しかも、これだけ不可思議な出来事が続いているのに、一つひとつの描写は非常に具体的で説得力があるんです。

日常の風景や細かな動作が丁寧に描かれているからこそ、そこに非日常が現れたときの衝撃が大きいと思います。

マイ:
私は、Book 3で二人がどうなるのかが、何より気になる。

ここまで印象的なニアミスをしていて、実際に出会うことができるのか。

もし、出会ったら世界はどうなるのか。

ヒナ:
私は、ここまで登場したさまざまな謎が、どう結びついていくのかを知りたいです。

Little People、air chrysalis、二つの月、ふかえりのPerceiverと天吾のReceiver。

それぞれが別々の謎ではなく、何か一つの大きな仕組みにつながっているような気がします。

タク:
遺されたBook 3だけで、これだけ巨大な謎が、十分に語られるのか、『1Q84』が短すぎるのではないか、不安になってきました。

コウキ:
自分も不安です。

これだけの謎を提示して、物語は無事着地できるのか。

Book 3を読むのは本当に楽しみですが、同時に、疑問が解消されないのではないかという不安も大きいと思います。

ヒデ:
もはや、英語訳『1Q84』が40万語の超大作であることを気にしている人はいませんね。

次回予告 Book 3開幕――第三の視点、牛河

2025年9月に実施された英語訳『1Q84』第4回の議論はここまでです。

次回からは、2025年10月に実施された第5回スタイリッシュ英語読書会の議論を紹介します。

物語はいよいよBook 3へ。

検討範囲は、Book 3, Chapter 1からChapter 16まで。

Book 3では、物語の構造そのものに大きな変化が起こります。

これまでの天吾と青豆、二つの視点に加えて、牛河という第三の視点が登場するのです。

Book 2における牛河は、天吾の前に現れた、不気味で、つかみどころのない人物でした。

しかし、Book 3では、その牛河自身の視点から物語が書かれ始める。

この構造の変化には、いったいどんな意味があるのか。

牛河の視点から何が語られるのか。

天吾と青豆の物語に、どのように関わってくるのか。

そして、彼の視点から見える世界はどのような世界なのか。

新たな観測者を手に入れ、僕たち読者は、現実の正体を明らかにすることができるようになるのか。

それとも、世界はさらに複雑になっていくのか。

次回、英語訳村上春樹『1Q84』17――Book 3、第三の視点・牛河。

『1Q84』という壮大な迷宮は、いよいよ新しい門を開きます。

ご期待ください。

村上春樹『1Q84』英語訳—英語多読初心者に絶対おすすめ【ネタバレ無し】
村上春樹『1Q84』英語訳を、英語多読初心者にもっともおすすめの英語多読素材として紹介する記事。面白さ、英文の深み、難度をネタバレしないようにしながら説明する。

難しい英語を勉強するために読むのではなく、物語の続きを知りたくて英語を読む。

そんな読書体験こそ、英語多読の醍醐味ではないでしょうか。詳しくは上の記事をご参照ください。

Audibleで聴く村上春樹『1Q84』英語訳―英語多読多聴初心者におすすめする至高のリスニング音源
Audibleで聴く村上春樹『1Q84』英語訳―英語多読多聴初心者におすすめする至高のリスニング音源。英語多読多聴を始めたばかりの人に『1Q84』英語訳オーディオブックがおすすめの理由。青豆と天吾の声、オーディオブックの利用方法などを紹介。

英語訳『1Q84』は、Audible版で音としても楽しめます。

Audibleの魅力は上の記事をご参照ください。

みなさんの意見や感想を、ぜひコメント欄で教えてください。

(スタイリッシュ英語読書会のコンセプトと初期メンバーの紹介はこちらを参照。)

スタイリッシュ英語読書会 Introduction
英語読書をスタイリッシュに楽しむための読書会の導入。英語で名作を深く読み解き、語り合うことの楽しさを追求し、教養として武器になる英語読書を目指している。読書が好きで、とにかく英語を楽しみたいという人に最適な英語読書コミュニティ。

(これまでの英語訳『1Q84』読書会の記事、一冊目の課題図書『Never Let Me Go』に関する記事はこちらをご覧ください。)

教養として武器となる英語読書を目指す読書会。スタイリッシュな英語図書をスタイリッシュに読みこなし、カッコいい読書歴を形成する。
社会の第一線で活躍し、深い教養と高い英語力を有するメンバー達が、より高みを目指し、村上春樹やカズオ・イシグロ、ジョージ・オーウェルなど、スタイリッシュな英語作品を、スタイリッシュに楽しんでいく。

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